いのち
HOME > 今年のプログラム一覧 > いのち
2020年度修学院フォーラム「いのち」
第2回 「ゲノム編集の光と影」
新型コロナウイルス感染状況に考慮し、開催を延期しておりましたが、リモート併用により、開催することになりました。
 ―――――――――――――――――――――――
モート開催ZOOM
会場参加も可能です。


 2018年暮れ中国で、ゲノム編集を施された子どもが生まれた、と報道され大騒ぎになりました。ゲノム編集で何が可能になり、何が問題なのでしょうか。



講師:中山 潤一 
(基礎生物学研究所 クロマチン制御研究部門教授)
講師:土井 健司 
(関西学院大学神学部教授)

ゲノム編集によって何が可能になるのか

          発題 中山 潤一

   私たちの遺伝情報はDNAとして細胞の中に収納され、その全体をゲノムと呼んでいます。DNAの情報は母親と父親から受け渡され、基本的にはほとんど変化しませんが、時には放射線や化学物質などの影響で変化し、がんなどの病気が引き起こされることがあります。ゲノム編集とは、2012年に開発された革新的な技術であり、DNAの配列を意図的に、正確に、しかも容易に変化させることを可能にする技術です。例えば、この技術を利用することで、これまで調べることが難しかった様々な生物種の遺伝子のはたらきを調べることが可能になりました。また、この技術を応用することで、将来的に人類が直面することが予想される食糧問題から、重篤な疾患の治療、臓器移植など、様々な問題の解決につながると期待されています。一方で、この技術を利用して特別な赤ちゃん、いわゆるデザイナー・ベビーをつくろうとする試みもあります。本講演では、最近注目されるゲノム編集という技術について紹介し、それによって何が可能になるのか紹介したいと思います。

ゲノム編集と倫理・私たちの社会

          発題 土井 健司

   ゲノム編集が、どのような人間を眼差しの下におき、またその忘却を引き起こすのか、これが目下の問題意識となります。そのためにゲノム編集の研究者は現在何をすることができ、またどこをめざしているのかを知る必要があると思います。
 ところで生命倫理においては忘却というものが問題となります。たとえば脳死臓器移植の問題では、脳死者とドナーとの関係の中でドナーの命が救われ、しかし脳死者への忘却が問題となります。人体実験の問題では、実験結果に期待するあまり、被験者の人権、人間性が忘却されていることが問題となります。ゲノム編集は、その技術を実施することがどのような人に光をもたらし、また忘却を引き起こしているのか、またその可能性を秘めているのかが問われることになります。
 現代社会における技術中心主義は技術の進歩は人類の夢という思想に支えられてきましたが、そろそろこの価値観にも限度が見えてきたのではないでしょうか。本来技術は手段であるはずなのに、目的となってしまい、その目的のもとに人間が忘却されてしまう可能性があるからです。生殖細胞系ゲノム編集の場合は、生まれてくる人間の存在そのものがこの技術にとって手段となってしまわないでしょうか。技術というものを本来の手段に引き戻すためには、「多くの人が幸せになるため」
「未来の人間の治療のため」などの⼀⾯的な倫理⽬的ではなく、私たちが真剣に何を求めるのか、私たち一人ひとり、そして将来の子孫を視野に含めて考えて行かねばならないのではないでしょうか。

講師はインターネットを通して講演し、話し合いに参加します。参加者は、次のいずれかの方法で参加できます。

[リモート参加]

  パソコンかスマートフォンを利用して、任意の場所でネットを通して参加することができます。申し込みの際にメールアドレスをお知らせください。メールアドレスあてにZoomの招待状をお送りします。

[来館参]

 関西セミナーハウスの会場に集まり、大画面の映像とスピーカーを通して講演を聞き、話し合いに参加します。


◎スケジュール◎ 
 13:00~14:00   中山先生発題・講演
 14:00~14:10   休憩
 14:10~15:10   土井先生発題・講演 
 15:10~15:20  
休憩
 15:20~17:00  質疑とはなしあい

【来館参加の方へ】

・ ご出発前に、検温をお願いします。(お忘れの場合、来館時にお願いいたします。)

・ ご体調のすぐれない方は、参加をお控えください。

・ 開催中、マスクの着用をお願いします。


【ZOOMによるリモート参加の方へ】
・ メールまたは、Webサイト申込フォームからの申込みを受付後、ログインの案内を送信します。
・ 当日13:00までにログインしてください。
・ 参加費は、下記いずれかにお振込みください。

 【郵便振替】 01020-1-5184(店番109 当座0005184)
    加入者名 関西セミナーハウス活動センター
 【京都銀行】 修学院支店 (コード 0158 店番145)
    普通預金 3192884
     名義  公益財団法人日本クリスチャン・アカデミー
        関西セミナーハウス活動センター
          所長代行 榎本 栄次
*お振込の証票をもって領収書に代えます。別途領収書が必要な方はお知らせください。

リモート映像の録画、録音は、ご遠慮ください。

 

2021年3月20日 (土) 13:00~17:00
場 所:関西セミナーハウス別館和室
(京都市左京区一乗寺竹ノ内町23)
参加費:1,500円 学生 500 円
定 員:来館は10名まで。
締切日:2021年3月17日
*他の修学院フォーラムより開始時間が早いのでご注意ください。
*参加方法をお知らせください〈 リモート参加、または 来場参加 〉
*お申込みには、事務局から電子メールか電話で受け取りのお知らせをします。申込み後2~3日経っても返信が無い場合は、メール不着の可能性がありますので、お電話などでお問い合わせ下さい。
<講師プロフィール>
中山 潤一(なかやま じゅんいち) 氏
基礎生物学研究所 クロマチン制御研究部門教授
1971年東京都に生まれる。東京工業大学大学院生命理工学研究科卒、博士(理学)、米国コールドスプリングハーバー研究所博士研究員、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター・チームリーダー、名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科教授などを経て、2016年から基礎生物学研究所クロマチン制御研究部門教授。研究テーマは、遺伝子の発現制御メカニズムなど。平成22年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞。
最近の訳書として、『デザイナー・ベビー—ゲノム編集によって迫られる選択』(ポール・ノフラー著、2017年丸善出版))、『動き始めたゲノム編集—⾷・医療・⽣殖の未来はどう変わる』(ネッサ・キャリー著、2020年丸善出版)などがある。
<講師プロフィール>
土井 健司(どい けんじ) 氏
関西学院大学神学部教授
 1962年、京都に生まれ育つ。関西学院大学神学部教授(歴史神学)、日本基督教学会理事、日本学術会議第25期連携会員(提⾔「人の生殖にゲノム編集技術を用いることの倫理的正当性について」の作成に関わる)、京都大学博士(文学)、関西学院大学博士(神学)。
著書として『救貧看護とフィランスロピア』(創文社)、『キリスト教を問いなおす』(ちくま新書)など多数、また論文に「忘却されし者へ眼差しを―バイエシックス・人間愛・キリスト教」(小松美彦・香川知晶編『メタバイオエシックスの構築へ』)、「安楽死・尊厳死とキリスト教―その歴史と基本思想」(甲斐克則・谷田憲俊編『生命倫理5 安楽死・尊厳死』)、「いま敢えて脳死・臓器移植について書くとするなら」(『医学と福音』3月号)などがある。
  
Page top