社会
2019年度修学院フォーラム「社会」
第4回 <エネルギーを考える第8回>
 「核に依存しない世界へ向けて」

稼働経費の安い原発を動かさなければ経済成長を望めないと主張されます。しかし原発は、10万年も有害な放射線を出し続ける廃棄物を作ります原発から得られるプルトニウムを保持し、核武装に備えなければ、国の安全を保てないと主張されます。しかし人類はすでに広島型原爆の数千倍もの威力を持つ核兵器を15,000個も有しています核の力に頼ることこそ安全への脅威です。核に依存しない世界に向けて舵を切るべき時です。そうした歩みを着実に始めている人と共に、明日の日本を考えたいと思います。

    企画:木村 護郎クリストフ(上智大学教授)
       小久保  正(京都大学名誉教授)

講師:近藤 恵 
(合同会社AgroKraft代表社員、環境エネルギー政策研究所福島事務所長)
講師:牛山 泉  
(足利大学理事長、大学院特任教授)

発題1ソーラーシェアリングと有機農業へのフクシマからの挑戦

近藤 恵

 福島市内にある、小さな映画館の館長と話し込んだことがあります。
『震災以降たくさんの震災関連の作品を上映し、様々な方と語り合ってきた中で感じたことは、福島の一番の被害者は3パターンであり、小さな子供とその母親、農業者である。』まさに3パターンのど真ん中に存在し、絶望の淵に立たされた私が、再生可能エネルギー事業に関わる事によって、生きる希望を取り戻し、次世代育成までを成し遂げようとしている実態をお伝えします。避難区域の見直しなど、オリンピックを契機に、原発事故の収束を図ろうとしていますが、住民分裂やあらたな植民地主義的な考えが増幅してきています。みなさんと共に考えを深め、次のステップにつなげてまいりたいと思います。

発題2.再生可能エネルギー100%の国を目指して発題2再生可能エネルギー100%の国を目指牛山 泉

    欧州諸国は既に脱原発路線に舵を切っていますが、日本でも福島第一原発事故を契機に国民の多くは「脱原発」と「再生可能エネルギー」の積極的導入を望んでいます。原発を止めて本当にやっていけるのかという心配もあるでしょう。しかし「知るは力なり」です。日本の再生可能エネルギーのポテンシャルと技術力を知れば、日本は再エネ100%も十分可能であることがわかるでしょう。福島原発事故以前に原発が54基あったときの総設備容量は48GWで国の電力需要のおよそ30%を供給していました。環境省の調査によれば、日本には洋上風力発電だけで1600GWものポテンシャルがあるのです。これに太陽光、陸上風力、バイオマス、小水力、地熱などが加わるのです。再エネ導入先進国のデンマークなどの例に学びながら、日本の再エネ100%国への可能性を皆さんと共に確認したいと思います。

2020年1月12日 (日) 〜 1月13日(月・祝) (日)16:00~(月)16:00
場 所:関西セミナーハウス
(京都市左京区一乗寺竹ノ内町23)
参加費:一般 14,200円、学生 5,200円〈宿泊3食込、京都市宿泊税 200 円含む〉
締切日:2020年1月8日
*多数の方が参加して下さることを期待しております。参加して下さる方は、1月8日までに下の参加申込書をFaxでお送りください。電子メール、電話、ウェブサイトフォームでも受け付けます。
*できるだけ全日程ご参加ください。やむを得ない場合は、部分参加でも結構です。部分参加の会費は事務局にお尋ね下さい。
*宿泊は、2~3名の相部屋が原則ですが、2,100円の追加料金でシングル利用もご準備できます。
*お申込みには、電子メールか電話で受け付けのお知らせを致します。申込み後2~3日経っても返信が無い場合は、お電話など  でお問い合わせ下さい。
 *前日正午以後のキャンセル、変更には、キャンセル料金が発生します。
<講師プロフィール>
近藤 恵(こんどう けい) 氏
合同会社AgroKraft代表社員、環境エネルギー政策研究所福島事務所長
1979年東京生まれ。基督教独立学園在学中に農業に関⼼を持つ。 筑波大学二学群生物資源学類を卒業後、千葉の有機農家で1年研修。 福島県二本松市で2006年新規就農。3年間の兼業時代を経て、2009年から専業で成り立つようになったが、3.11に遭遇し廃業。 農業協同組合、飯館電力株式会社役員を歴任。
<講師プロフィール>
牛山 泉 (うしやま いずみ) 氏
足利大学理事長、大学院特任教授
1942年 長野市生まれ。上智大学大学院理工学研究科博士課程修了。 工学博士。 ガスタービンの研究で学位を取得するが、1970年代の石油危機を契機に、ガスタービンからウィンドタービン(風力タービン)など再生可能エネルギーの研究にシフトする。1977年に足利工業大学で「日本風力エネルギー協会(現学会)」を設立する。政府の風力発電関連の多くの委員長を務め、現在は洋上風力発電に注力している。NHKの“プロジェクトX”にも取り上げられた再生可能エネルギーによる地域活性化や、環境教育、JICAを通じて開発途上国支援も実施している。論文は160編、著書は単独・共著合わせて26冊、最近著は『自然エネルギーが地球を救う―「脱原発」への現実的シナリオ』(いのちのことば社)、このうち風力発電の専門書5冊は中・韓・台で翻訳出版されている。
  
Page top