社会
2017年度修学院フォーラム「社会」
第4回 〈エネルギーを考える 第6回〉
原発との共存は可能か?~フクシマからの問い~
 フクシマ原発事故から約7年が経過し、早やそれは過去の出来事として忘れ去られようとしてい ます。
 しかしその惨禍は今も衰えず、被害の深刻さは度を深めています。その実情をしっかり見つめ、
被災地からの訴えに耳を傾け、それに基づき新しい歩みを紡ぎ出していくのでなければ、次の世代に荒廃した社会を引き継がせることになるでしょう。今私たちはあらためて、被災の現場に密着してきた二人の識者から提言を聴き、共に日本社会の進むべき道について考えたいと思います。
講師:大島 堅一 
(龍谷大学政策学部政策学科教授、原子力市民委員会座長代理)
講師:島薗 進 
(上智大学神学部教授・グリーフケア研究所所長)
―講師交代のお知らせ―

  この度、吉岡斉先生が急病でご入院されることになり、ご参加下さることが不可能になりました。急きょ吉岡先生のご推薦で龍谷大学政策学部教授 大島堅一先生が代わって講師をお務め下さることになりました。ただし大島先生のご参加は、所用のため1日目の発題講演と夕食後21時までの質疑応答、はなしあいまでとなります。ご了承いただけますようお願い申し上げます。

なお、島薗 進先生は、予定通りご参加の予定です。


「経済からみる原子力政策」 大島 堅一 

 原子力発電は、安全性、経済性、安定供給性、環境適合性を理由に推進されてきた。ところが、2011年3月11日の東京電力福島第⼀原発事故が起きると安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、推進一辺倒の政策は見直しお願いされることとなった。だが一方で、全国的に原発再稼働が進められて いる。現行の原子力発電はいったいどのようにとらえられるのだろうか。
 本講義では、経済から原子力発電、原子力政策をみつめなおし、今後のエネルギー政策のあり方について議論する。

「原発災害を通して見る現代科学技術の倫理問題」 島薗 進

 福島原発災害を通して私たちは多くのことを学んできている。事故後の早い時期から、多くの人たちが原発の是非は倫理的視点を含めて考えるべきだと述べてきた。それはどういう意味だったのか。すでに多くの議論がなされてきてはいるが、事故後7年が近くこの段階であらためて考え直してみたい。人々がどのような難儀を被ってきたか、また、政府や専門家が被災者にどう対してきたかということは、この問題を考える大きな手がかりとなるだろう。また、日本の、そして世界の宗教界が原発災害にどう向き合ってきたかについても考え直してみたい。宗教集団や宗教者がこの問題に取り組む姿勢から、原発の倫理的な難点を問い直すことにも意味があるだろう。さらに、原発災害がもたらした分断と差別による苦難から、どのような「回復」が展望されるのかについても水俣の「回復」の過程などを参考にしながら考えていきたい。

2018年1月 7日 (日) 〜 8日(月・祝) (日)16:00~(月)16:00
場 所:関西セミナーハウス
(京都市左京区一乗寺竹ノ内町23)
参加費:一般 14,000円、学生 5,000円[宿泊3食込]
締切日:2018年1月3日
*多数の方が参加して下さることを期待しております。参加して下さる方は、1月3日までに下の参加申込書をFaxでお送りください。    電子メール、電話、ウェブサイトフォームでも受け付けます。 *できるだけ全日程ご参加ください。やむを得ない場合は、部分参加でも結構です。部分参加の会費は事務局にお尋ね下さい。 *宿泊は、2~3名の相部屋が原則ですが、2,100円の追加料金でシングル利用もご準備できます。 *お申込みには、電子メールか電話で受け付けのお知らせを致します。申込み後2~3日経っても返信が無い場合は、お電話など でお問い合わせ下さい。  *前日正午以後のキャンセル、変更には、キャンセル料金が発生します。
<講師プロフィール>
大島 堅一(おおしま けんいち) 氏
龍谷大学政策学部政策学科教授、原子力市民委員会座長代理
龍谷大学政策学部教授。⼀橋大学⼤学院経済学研究科博⼠課程単位取得。経済学博士。環境経済学専攻。立命館大学国際関係学部教授等を経て現職。政府のエネルギー・環境会議コスト等検証委員会委員、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員等を努める。⽇本環境会議事務局⻑、原⼦⼒市⺠委員会座⻑代理。著 書に『原発のコスト』(第12回⼤佛次郎論壇賞受賞、岩波書店)、『原発はやっぱり割に合わない』(東洋 経済新報社)、『地域分散型エネルギー戦略』(⽇本評論社)等多数。
<講師プロフィール>
島薗 進(しまぞの すすむ) 氏
上智大学神学部教授・グリーフケア研究所所長
1977年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学哲学思想学系研究員、東京外国語大学助手・助教授を経て、東京大学文学部(大学院人文社会系研究科)宗教学宗教史学科教授。専攻は宗教学、近代日本宗教史、死生学。著書に『宗教学の名著30』(筑摩書房、2008年)、『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『つくられた放射線「安全」論 科学が道を踏みはずすとき』(河出書房新社、2013年)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店、2013年)『倫理良書を読む 災後に生き方を見直す28冊』(弘文堂、2014年)、『いのちを"つくって"もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義』(NHK出版 2016)、『宗教を物語でほどく』(NHK出版 2016)、『宗教ってなんだろう』(平凡社、2017年)などがある。
  
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