いのち
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修学院フォーラム「いのちを考える」
第4回 いのちからの問い、いのちへの問いー生命倫理を超えて
これまでの生命倫理・医療倫理の枠を越えて、「いのち」をどのように考えるのか、その根本のところを様々な方のお話を伺いながら考えて行きたいと思います。
講師:安藤 泰至 
(鳥取大学医学部准教授)

  このシリーズのタイトルにもあるように、私たちは「いのち」という言葉をよく使います。もちろん、「生命」という語と同じような意味で使う場合も多いのですが、それを超えた語感を帯びていることも多く、「限りある生命」に対する「永遠のいのち」といったように生物学的な生命と対比して語られることすらあります。「いのち」というのは、そこらに「いのち」の形をしてころがっているようなものではなく、むしろ私たちがそう呼ぶことによって見いだしている自己や世界についてのある「まなざし」「見方」なのではないでしょうか。私たちが「いのち」を意識し、自覚するのは、現に「生きている」という直接的な事実からではなく、むしろ「死」を意識することによってであるように思われます。人間は「いのちとは何か?」を問うことによってはじめて人間になったのだと言うこともできますし、有史以来こうした「いのちへの問い」を担ってきたのは広い意味での宗教でしょう。今日、新しい医療技術や生命科学の急速な発展は、人間の生や死のかたち自体を揺るがし、私たちに新たな形で「いのちへの問い」を課してきています。「生命倫理(学)」という営みは本来、そうした問いのために生まれてきたものですが、その発展や制度化にともなって、そうした根本的な問いが忘れられつつあるように思います。当日は現代のいくつかの具体的な生命倫理問題をとりあげながら、それらが私たちに突きつけている「いのちへの問い」について、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。(安藤 泰至

2011年12月17日 (土) 13:30~17:30                                  終了後、〈講師を囲む談話会〉18:00~21:00
場 所:関西セミナーハウス
参加費:2,000円 学生500円 〈談話会〉2,500 円(夕食代、お茶代を含む)
締切日:2011年12月14日
<講師プロフィール>
安藤 泰至(あんどう やすのり) 氏
鳥取大学医学部准教授
鳥取大学医学部保健学科准教授、専門は宗教学、生命倫理、死生学。 京都大学文学部、同大学院文学研究科(宗教学専攻)修了後、米子工業高専講師などを経て2000年より現職。ヴァージニア大学実践倫理研究所フェロー(2006-2007年)。2002年、論文「人間の生における「尊厳」概念の再考」にて日本医学哲学・倫理学会奨励賞。  著書:編著に『「いのちの思想」を掘り起こす―生命倫理の再生に向けて―』(岩波書店)、共著に『生命の産業―バイオテクノロジーの経済倫理学』(ナカニシヤ出版)、『死生学〔1〕死生学とはなにか』(東京大学出版会)、訳書に『死と来世の系譜』(時事通信社)など。            
  
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